小説

□俺の嫁
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保育園時代の甘い思い出。
「彼、元気かな?」


「楓が、僕のお嫁さんだよ」
「いいよね?」
「うん」
「約束だよ」
「指切り」
楓と修の固い約束。
「楓と修の結婚式」
「うん」
「僕のお嫁さんだよ」
修は、クローバーの葉で、指輪を作り、楓にはめた。
「ありがとう」
「うん」
「約束」
「指切り」




突然の別れが来た。
修が引っ越すことになった。
「はい、皆さん、今日で、河村修君がお引越しをすることになりました」
「今日で、修君とは、お別れです」







「え〜」
「修君、いなくなるの?」
楓が泣き出した。
「皆さん、今まで、修と仲良くしてくれて、ありがとう」
修のお母さんが、挨拶をした。
「今まで、ありがとう」


車に修が乗った。
「修!!」
「元気でね!!」
「楓!!」
「約束、忘れないでね」
「修!!」
楓の声がこだました。
「修!!」
楓は、いつまでも、車を追いかけた。
「楓!!」
修が、めいっぱい手を振った。

修との甘い思い出を、胸に秘めて、月日がたった。


楓、16歳の春。

「気をつけて、いってらっしゃい」
「は〜い」
「行ってきます」
「もう、楓ったら、あわただしわね」


初めて、向かう通学路、楓は、新しい道をウキウキしていた。
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