遊びの部屋

□ハロウィン2017
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ーーーーー 月だ。



若草色の天使「………………………」



テラスへと繋がる部屋の窓、その向こう側にーーー広がる世界



若草色の天使「………綺麗ですねぇ……やっぱり」



淡い色をした空の色。…優しさの色。

あの色はそう……何といっただろうか………



………思い出せない。



若草色の天使「……………………思い出せないんです…」


見つめる先、窓から降り注ぐ月の光。
部屋へと落ちる窓の影が床へと広がって。

其処にある鳥籠へと届く。窓枠の影と籠の格子の影、二つの影にその顔を彩られながら、天使はずっと。ただただ座って外を眺め見ていた。…自身の羽に刻まれたその色。この色は何だったのか……

何処かぽっかりと空いてしまった胸。忘れたかった、でも忘れたくはなかった。そんな気がする。


若草色の天使「……………………………」


変わらず窓の外を眺めて見る天使。その視界に、俄かに

それは映った。


若草色の天使「…………、?」


黒い影。鳥にも見えるが、あれは……最初は小さかったそれがどんどんと大きくなってきて、やがて


若草色の天使「ーーーーっ、!」


ガシャンと音を立てて窓のガラスが粉々に砕け部屋へと降り注いだ。

同時に開いた窓。ビュウっと吹き込んだ夜風と共にーーー



ーーーーー バサッ ーーーー



視界に舞った白と黒の羽根。その神秘的な光景に天使の目が呆然と見開かれる。

照らす月明かりの光を纏いながら。大きく一つ、羽ばたいた四枚の大翼ーーーーー




「………っ、やっと見つけたーーーー!!」




後ろに広がる空の色と同じ色をした瞳。白と黒、四枚の大翼。
“黒い天使”。

淡い色をした空に浮かぶ月、それを背に。
割れた窓、其処に、現れたのはーーー 目を惹く程の妖しさを秘めたそれはそれは綺麗な黒色の天使



若草色の天使「……………ーーーーー」




この時感じた感情の名を、彼女もまた知らなかった。











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