【 TWINkleウィング 】

□【0YardGain:プロローグ】
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ある所に、1人の少年と、1人の可愛らしい“小鳥”がいた。

その少年は、どうしてもその“小鳥”を手に入れたい、と思っていた。


だがしかし、その“小鳥”は、すでに羽を広げて“飛ぶ”という行為を知ってしまっていた。


だから、その少年が、その腕の中へその“小鳥”を捕まえるのは困難であった………。



空を自由に飛ぶ姿が似合うその“小鳥”。

ソレはやがて、美しい翼を持つ、麗(うるわ)しい“天使”になった。


するとどうだろう。

空に住む神様は、その“天使”に恋をしてしまい、“天使”にこの大空を“飛び翔る”チカラを与えた。


そして、神様はこう言った。

「さぁ、もっと高く飛ぶのです。
 もっと飛んで、遥かなる天空のココまで来るのです」と…。


その“天使”は笑顔で頷(うなず)いて、その愛に応えるべく、また、さらに飛べることに喜んで、高く高く舞い上がった―…。



少年は悔やんだ。

かつては“小鳥”であったソレを、卵から孵(かえ)った瞬間に、狭い箱に閉じ込めるべきであったと…。

羽を広げられない程に狭い箱に閉じ込めて、自身が“飛べる”ことに気付かせないようにすべきであったと…。


そうしていたならば、今、簡単に捕まえることが出来ただろうに―…。


少年は神を敵と見なし、ついには“悪魔”になってしまった。

…いや、その少年は、自ら“悪魔”になったのである。



力を手にした、かつては少年であった“悪魔”は、その力を利用することにした。

神の元へ高く舞う“天使”の羽根を、1枚ずつその手で毟(むし)り取り、最後は地上へと叩き落としてやったのだ。


ソレだけでは飽き足らず、傷ついた“天使”に甘い声をかけた。

その腕をとり、再び空[うえ]へ行かせないようにと、下へ下へ連れて行った…。



“天使”は傷ついた翼を見て、静かに涙を流していた。

ソレを見ていた“悪魔”は、愉快そうに笑っていた。



けれど―……………。

彼もまた、彼女から毟(むし)り取った羽根を1枚握りしめて、見えない涙を流していた………。



少しずつ少しずつ美しい羽根を毟って、少しずつ少しずつ地獄へ導いていく彼―…。

そして、“悪魔”はついに、かつては小鳥であった“天使”を手に入れた。


その罪を犯した両腕で、“悪魔”とは思えない程に、彼は“天使”を限りなく優しく、ソレでいて強く抱き締める。

もう二度と“放さない”ように、もう二度と“離さない”ように―…。



かつてはただの少年であった“悪魔”。

彼は彼女を抱き締め、その存在を改めて感じることで、今になって気付いたのだ。



ああ。 

結局、自分はこの子がいないと生きていけないだ―――………。

だた、ソレだけなんだな。



…と―…。





…そう、ただ、ソレだけなのでした………。






【0YardGain:プロローグ】 ―作戦会議[ハドル]!―



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