短編まどか☆マギカ

□ずっとあなたを想っている(ほむら編)
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時間は夜の6時を指していた。夜空は真っ暗な闇に点々と光る星空が綺麗に瞬いていた。そして目を空から地上に向けると街はクリスマスで賑っている。広場に装飾のされたクリスマスツリーが眩しくライトアップしている。お店も飾り付けされてとても夜とは思えない明るさだった。
ほむらは公園のベンチに座ってまどかを待っていた。吐く息が白い。いつもより30分早く来ていた。待ち合わせ時間になってすぐにまどかはやってきた。まどかのリボンが今日はいつもより濃い赤色だった。
「ごめんね、待った?」
「いいえ、私も今来たところよ」
ほむらは首を横に振ってまどかに言った。
「行きましょう、まどか」
「うん」
まどかは嬉しそうに言った。
二人は街中を歩いた。今日は街中でクリスマスイベントがあるようだった。
「なんかいつもいる見滝原じゃないみたい」
「そうね、綺麗な装飾されてて幻想的な感じ」
ほむらはチラッとまどかを見る。楽しそうに隣を歩くまどか。ほむらはそれだけで嬉しかった。でもそれではいつもと同じである。
「今日はほむらちゃんと二人だね」
「そう、ね、初めてかしら」
「いつもみんなと一緒だからね、でもほむらちゃんと二人だけでこういうのしたかったな」
「そうなの?」
ほむらはまどかの方を見る。
「ほむらちゃん、みんなが一緒だとあまり自分のこと話さないでしょ、だから今日はいっぱいほむらちゃんのこと聞いちゃう」
「私もまどかのこと聞いていい?」
「いいよ、たくさん聞いて」
二人は大広場に来た。真ん中に大きなクリスマスツリーがライトアップしている。周りにはカップルがたくさんいる。そんな中二人はそのツリーに近づく。
「ねえ知ってるほむらちゃん」
「何を?」
「このツリー今日だけ願い事を聞いてくれるらしいよ。昔このツリーに願ったカップルは恋が実ったみたいなの」
まどかにそう言われてほむらは願いをせずにはいられなかった。もちろん自分とまどかである。
「ほむらちゃん、何を願ってるの?」
まどかがほむらに聞く。
「それは言えないわ」
「願い事だから?今日はいっぱいほむらちゃんのこと聞いちゃうから、ね、教えて」
「まどかのことを願ったわ」
「わたしのこと?」
「いつまでも親友でいられますようにって」
「ありがとう、ほむらちゃん。わたしも願うよいつまでも親友だって」
そう言ってまどかはクリスマスツリーに向けて願う。ライトアップされた光がまどかの顔を照らしてまるで天使のように可愛かった。願い終わったまどかはにこにこしながらほむらの方を見た。
「行こうっか」
「ええ」
歩き始めようとしたときほむらは思いとどまったように足を止める。
「どうしたの?ほむらちゃん」
「まどか、手を繋ごう」
「うん、いいよ」
まどかは笑顔で答えてくれた。まどかの手をそっと握る。冷たかった。
また二人は歩き出した。カフェやどこかのお店に入るわけでもなく二人は歩いた。ほむらはとにかく二人でいるということを大事にしたかった。家に呼ぶのではなくどこかの温かい所に行くのではない。寒いけど周りの明るい風景とまどかと自分の空間でいたかった。
「ねえ、ほむらちゃん」
「何、まどか」
「サンタクロースって信じる?」
「私は信じていないわ、小さいころから体が悪くて病院にいたからプレゼントがもらえたことなんてなかった。それは作り話だって思っていたわ。まどかは信じているの?」
「わたしは信じてる、その方が楽しいから夢があるから」
「そうね、私もまどかが信じるなら信じてみてもいいわ、でももうもらえないけどね」
「そうだね」
まどかが笑う。自然とほむらもやわらかい笑みが浮かぶ。それを見てまどかが驚いたような顔をする。
「どうしたの?まどか驚いたような顔をして」
「ごめんね、でもほむらちゃんがとても楽しそうに笑っていたから」
「そうだった?確かにいつもは私あまり笑わないから」
「とても可愛かった。もったいないよほむらちゃんもっと笑って欲しいなわたし」
まどかにそう言われてほむらは嬉しさとこそばゆい感覚がした。
「まどかが、そう言うなら」
ほむらはまどかの方を見て言う。
「うん」
街中を出て公園に入る。さっきまで明るかった景色が少し暗くなる。それでもいつもに比べたら明るい風景だった。
「まどか来て、見せたいものがあるの」
公園の奥に階段がある。長い階段だった。二人は一緒に上がって最後の段を一緒に上がると目の前には景色が広がる。
「ああ、とてもキレイ」
「私たちがさっきまで歩いてきたところよ」
そこからは街中の景色が広がっている。いつもは掲示板の広告やビルの電気だけだが今日は違う。ライトアップされた色鮮やかな景色が広がる。お店の総称くの光、さっき願い事をしたクリスマスツリー。赤、青、緑、それぞれの色が混ざり合ってカラフルな光の海だった。
「ほむらちゃん、綺麗だね」
「ええ、でもね本当に綺麗なのはまどかだよ」
「ほむらちゃんもだよ」
二人は顔を見合わせる。
「ねえほむらちゃん」
「なに?まどか」
「今日ね新しいほむらちゃんを見つけたよ」
「ん?新しい」
「いつもの、魔法少女ほむらちゃんじゃなくてとても可愛いほむらちゃんを」
「まどか……」
「大切な友達の新しい発見、とっても嬉しいな最高のクリスマスプレゼント、さっきの願い事効いたのかな」
そう言うとまどかはほむらの手をそっと握る。ひんやりして冷たかった。でもどこか温かさを感じた。
「私もまどかといれて嬉しい。ずっと一緒にいたい」
「わたしもだよ」
「私、試しにサンタに願ってみるわまどかとずっと一緒にいられますようにって」
するとまどかは顔を横に振って言う。
「願わなくてもずっと一緒、だってもう願ったもん」
「そうだったわね」
ほむらは包まれた手と反対の手でまどかの手を包む。
「大好き、まどか」
「わたしも」
笑顔でまどかは言う。きっとまどかの大好きは友達としてだろう。ほむらはそう思った。ほむらは手を離すとまどかを静かに抱きしめる。まどかはびっくりしたのか何も言わない。厚着をしているけどひんやりしている。頬を頬がくっつくとひんやりしている。当然だ、だからほむらは自分の気持ちをもう少し伝えてまどかを温めたかった。
「私ね、まどかのこと大好き、友達よりずっと変かもしれないけどそれが私の気持ち」
「ほむらちゃん……」
まどかの声がそっと聞こえる。周りに誰もいない。半分は街からの明りと公園側の暗さが相まって二人の姿はドラマのワンシーンのように他の人が見たら感じるかもしれない。
「ずっと言いたかったの、でも言えなかった、魔法少女をやっていてどこかに感情を置いてきちゃったみたいで、でもまどかが言ってくれた。楽しそうに笑ってるって、まだ私普通の女の子でいられるんだって感じることが出来た。だからまどかに言うって決心できたの」
「そっか、また嬉しいことできちゃった」
まどかはそう言うとほむらの背中に腕をまわす。
「ほむらちゃんの気持ち教えてくれてありがとう、わたしも大好き同じだよ、ううん大大好き」
「じゃあ私はもっと大好き」
「じゃあわたしはもっと」
互いにそう言って二人には笑みが浮かぶ。ほむらはまどかから抱きしめるのをやめて再び街中を見る。そして言う。
「まどかにねプレゼントがあるの」
「えっ?」
そう言うと二人の目の前に花火が打ちあがる。花火かどうかは分からない。でも光が打ちあがってそれが散るとそれは絵になった。
「あれって」
「そう、私はまどかが特別大好きだけど、みんな大事な友達だから」
目の前に打ち上がった絵はまとかとほむら、さやかに杏子そしてマミだった。ほむらは時計を見る。7時30分になった。
「さあ、行きましょう」
「どこに?」
「みんなのところへ」
ほむらはそっと手を差し出す。まどかはそれを見てニコッと笑みを浮かべてその手を握る。さっき握った時より少し温かった。



そして集まるへ

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