普通少女☆さやかちゃん

□マイ・スクール・ライフ
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美樹さやかの学校生活は至って普通である。友達と喋って授業をして時には居眠りをしたりと一般的な学生と変わらない。
そうあの日を除いて……。

「ほむらちゃんってすごいよね勉強も運動もできて、私なんか運動はちょっと」
「人それぞれよ、まどかは私にないものをもっているわ」
「例えば心やさしいところとか」
「黙りなさい、美樹さやか」

さやかとまどか、ほむらは二限目の体育のために更衣室に向かっていた。ほむらはこの間転校してきた。すでにクラスでは才色兼備の少女という扱いになっている。しかしそんな彼女は少し近づき難い雰囲気を感じさせるが冷たい人間ではない。さやかとも最初会ったころと比べれば接しやすいようになった。未だに謎の多いほむらであるがさやかはあまり聞かないでおこうと思った。以前そうした時に彼女の隠れた一面を見た気がするからである。

「ねえ、さやかちゃんがほむらちゃんにいいニックネームを付けてくれたんだよ」
「そうそれはとても聞きたくないわ」
「聞いてよ、聞くだけ聞いてよ」
「あなたの頭脳からしてだいたい分かるわ」

余裕の表情でほむらは答える。さやかはムッとしながらも我慢して聞き返す。

「よーしじゃあ当てたらお昼を出すよ」
「さやかちゃん、またそんなこと言って」

まどかが止めに入るがさやかは気にしない。いくら頭がいいほむらでもニックネームなんていう少しのコメディ要素が必要な面白みのある名前を答えられるとは思えないとさやかは心の中で思った。

「そう後悔したって知らないわよ」
「後悔なんてあるわけないさ」
「分かったわ、なら答えさせてもらうわ。それの答えは、ほむほむね」
「…………」

まどかが苦笑を浮かべる。さやかも視線をほむらから外す。この時さやかは思う。もしかしてあたしって馬鹿と。

「普通にあなたのレベルで考えればこうなるわね」

声が少し勝ち誇ったように聞こえるのは気のせいだろうかとさやかは思う。ともかくお昼の学食が一食余計にかかるのは確定された。

「はは、あたしって一体」
「あなたが私に勝負を挑むのは一生かけても無理ね」

そんな他愛もない日常が今日少しだけ騒がしくなるのをさやかはまだ知らなかった。
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