普通少女☆さやかちゃん

□影の少女は光の少女と対立する
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夜空が出て星が輝いている。それが街中の電気と合わさって綺麗な風景を出していた。しかしそんな綺麗な景色の中でも綺麗ではない闇の部分も存在する。

耳を塞ぎたくなるような爆音がする。ほむらはその爆発した先を見ていた。彼女がいる所こそ闇の部分。一般の人は気付かない魔女の結界の中にいた。魔法少女の務めである魔女退治をほむらはしていた。そして今の爆音は爆弾を使って魔女を倒した時の音である。魔女を倒したことにより結界が解かれる。ほむらは結界が解かれるのと同時に地面に落ちる黒くて丸い石みたいな物を拾う。
「グリーフシード」といって魔女の卵である。これを放置すると孵化してしまう。しかしこれはほむらのような魔法少女の助けになる物でもあった。変身を解いていつもの服装に戻るとほむらは右手に持っている紫色の宝石がある。「ソウルジェム」と呼ばれ魔法少女の証とされている。持っているソウルジェムと拾ったグリーフシードをくっつけるように合わせる。すると黒く濁っているソウルジェムからまるで汚れを吸い取るようにグリーフシードが吸い取る。ソウルジェムが綺麗になる。
ほむらの放課後はだいたいがこんなだった。魔法少女となった以上魔女退治はやらなければいけない。そのため自由な時間は巴マミ同様ない。
学校から魔女退治へそして家に帰る。それの往復だった。

アパートに帰ってきてほむらは自分の部屋の前まで来る。ドアノブに手をやると鍵が空いていた。鍵は学校に行く時に閉めた。そうなるとあれしか考えられなかった。
ほむらはドアを開けるとリビングの明りが点いている。前も似たようなことがあった。あの時は巴マミと美樹さやかだったが今回は違う。
リビングまで行くと案の定テーブルにお菓子を置いてソファでくつろいでいる佐倉杏子がいる。彼女には合鍵を渡してある。

「お帰り、遅かったじゃないか」

杏子は呑気な声でほむらに言う。

「勝手にお菓子を食べていいと言っていないわよ」
「別にいいじゃん、それに今開けたとこなんだし、食うかい」

そう言って杏子は開けた菓子箱から細いチョコの棒をほむらに差しだす。ほむらは杏子に近づいてそのチョコ棒を一本もらって食べる。

「今日も私の家で食べていくの?」
「いいのかい」
「どうせそれ目的で来たのでしょう」
「ああ、バレたか」
「準備するから少し待っていなさい」

杏子はほむらが何をしていたのか知らない。知らない方がいいとほむらは思っている。それが彼女のためなのだ。だから勝手に家に上がりこんでお菓子を食べていても構わなかった。もちろん良い子は真似をしてはいけない。

自分と杏子の二人分のご飯を作りながらほむらはあることを考えていた。自分は過去を何度も繰り返してきた。いつもなら転校してきて数日したころからまどかを含めてキュゥべえと契約した魔法少女たちが揃う。それは巴マミや美樹さやか、そして今呑気にお菓子を食べている佐倉杏子である。そして特定の出来事が起きて皆、いなくなってしまう。自分とまどかを残して。しかしこの時間軸は不思議なことに何も起きない。キュゥべえがまどか達に関わってくることが少ない。それは良いことだったが嫌な予感がつきまとった。
ほむらはテーブルに出来た料理を置く。今日は忙しかったので簡単なもので済ました。

「ご飯が出てくるのは嬉しいけど、今日は何か質素だな」

杏子はテーブルに置かれた料理を見て感想を漏らす。

「私だって忙しいのよ、我慢しなさい」
「ま、ご飯が食えるのは贅沢だもんな」

杏子はそう言いながら目玉焼きを食べる。

(いつまでこの状況は続くのかしら)

この何もないことにさっきも感じたが嫌な予感しかしなかった。数日したら目の前にいる佐倉杏子もいなくなっているかもしれない。

「どうしたんだよ、暗い顔して残すならあたしが食べるぞ」
「いえ、食べるわよ」
「ところでさ……」

杏子は食べるのを一旦止めてほむらを見て言う。

「前から気になっていたんだけど、あの鹿目まどかとって子、あんたやたらと気にしているけど、どうなんだ?」
「どうって言われても友達よ」

杏子の質問にほむらはさらりと答える。すると杏子は首を横に振って違うと言う。

「いや違うね、初めて会った時から何か違う感じする」
「気のせいよ」
「でもあの子といる時のあんたって別人に見えるぞ」
「随分と私とまどかの関係を気にするわね」

あまりにしつこいのでほむらは会話をかわすことをやめて聞いてみた。

「そのさ、禁断の愛なのか?」

口に含んだ紅茶を出しそうになってしまった。佐倉杏子からは程遠い言葉が出たので驚いてしまった。

「突然、何を言い出すの?」

口に手を当てながらほむらは杏子に聞く。

「あたしにもよく分かんないけどさ、マミのやつが以前言っていたんだよ、暁美さんと鹿目さんって友達以上の関係があるって」

ほむらは杏子に聞こえないように舌打ちする。一体巴マミは知り合いになんてことを言うのだろうと思いつつも否定する気にはなれなかった。

「どうなんだ?あたしは恋愛よりも食べ物優先だからさ、確かにあたしから見てもまどかとは仲良いくらいは分かるけど」

興味がないと言うわりには興味津々な表情でほむらに迫る。

「ええ、友達とても大事な、ね」
「それだけ?」
「ええ、それだけよ」

ほむらはカップに残った紅茶をすべて飲むと食べ終わった食器を台所まで持って行った。

「それ、だけね」

杏子は皿に残ったミニトマトを口に運ぶとほむらと同じように台所に食器を持って行った。
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