リクエスト

□貴方の掌から伝わる確かな温度に安堵して
2ページ/4ページ












「……たく、久しぶりに自由な生活に戻れて最初に出かける所が遊園地とはな。相変わらずガキだな、お前」


「べ、別に良いだろっ!ちょうど無料のチケット二枚貰ったのだからな。…それとも、他の人を誘えば良かったのか…?」


「アホ。そんな事したら仕置きじゃ済まさないぜ?スミ」


「……な、何でなのだ!?」




相変わらずの俺様な態度のキリヲに振り回されながらも、夕闇遊園地に到着した二人。

休日ともあり、人の数は多かった。














「……相変わらず凄い人だなぁ」


「迷子になるなよ、スミ」


「な、なる訳ないだろ!」





とは言え、あまりの人の数に、油断をしたら本当にはぐれそうだった。







(……そっか!今日なんかイベントあるとか言ってたな。だから更に人が多いんだ!)



まるで、お祭りのような騒ぎだ。

背後からやってくる人達に押され揉まれで、キリヲの姿が認識出来なくなってきたスミオ。











「……キ…っ…」



「……たく。やっぱり目が離せない奴だな」




ぐいっと。
キリヲはスミオの手を引いた。

そしてそのまま人が少ない場所までと移動する。




























「……本当に迷子になりかける奴がいるか?」


「…………」


「……スミ?」




黙ったまま俯いているスミオに、どこか怪我でもしたのだろうかと顔を覗き込む。
















「………キリの手…」



「……?」



「…温かいのだ。……変わらない…。3年前と」


「……スミ…」



「…帰ってきたんだなって。キリはここにいるんだ…」



歪んでしまった自分達の運命。
バラバラになってしまった絆。







でも、取り戻せた。
この掌を伝う、確かな温もりがその証拠。








次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ