夕闇探偵団
□第一章
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「へへっ…上手くいったぜ」
夕闇町のとあるデパートにて。
鞄を抱えた男が一人、ニヤリと笑ってデパートを後にしようとしていた。
「そこまでだ!万引き常習犯!!」
しかし、突然この場に響いた声に驚き、思わず足を止めてしまった。
「…な、何だお前は!」
男が振り返った先に立っていたのは、水玉のフードがついたパーカーに、膝下くらいの長さのズボンを穿いた、翡翠色の髪と瞳の、小柄な少年。
少年が大きな声で叫んだ言葉に、周りの人間達もジロジロと男に視線を向ける。
「おれは夕闇探偵団の灰葉スミオ。お前が万引き常習犯だというのは解っているぞっ!」
ビシッと男を指差しながら。
少年スミオは男に近付いた。
「……な、何をする!」
「鞄の中を見せてもらうぞっ」
男から鞄を奪い、中をガサガサと漁る。
中からは値札がついた時計や洋服など、大量の品物が出てきた。
「……やっぱり。もうこれで言い逃れはできんぞ」
「…な、何で、何で解った!完璧に遂行したと思ったのに!今まで気づかれた事がないのに!」
信じられないと言った顔で叫ぶ男に、スミオはニッと口端を上げた。
「……おれ達夕闇探偵団には、お前のような悪行、お見通しなのだ」
「………くっ……!ちくしょおぉ!!!」