リクエスト
□貴方の掌から伝わる確かな温度に安堵して
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「あら、スミ。早いわね。どこか出かけるの?」
「あぁ!ちょっとなっ」
時刻は朝の9時30分。
今日は日曜日で学校は休みである筈のスミオ。
普段ならまだ起きてこない、朝に弱い息子が、早起きとは言い難いがいつもより早い時間帯に起きて、出かける準備をしていた事にみなは驚いた。
「じゃあ、行ってきます!」
「行ってらっしゃ〜い。変な人や車には気をつけるのよ」
「解ってるのだ;」
子供にするような忠告に苦笑しながら、スミオは自宅を後にした。
「……あんなにウキウキしちゃって。…デートかしらねぇー」
「キリ!」
夕闇公園の噴水前。
腕を組んで立っているのはキリヲ。
手を振ってこちらに駆け寄ってくるスミオに反応してその顔を上げた。
「……1分遅刻。赤点だな、スミ」
「ゔっ!ゴメンなのだ;」
「……まぁいい。さっさと行くぞ」
「わっ!待ってくれ!」
くるりと踵を返し歩き出すキリヲに、スミオは慌ててついていった。