二人の協奏曲
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『……健康診断?…水着着用?』
龍也さんから告げられた連絡事項に俺は呆然と呟いた。
何故水着。ジャージで良くないか。
「秋音、どうしました?」
『ねぇトキヤ、これ水着にする必要ある?ジャージで良いと思うんだ』
寄ってきたトキヤに思ってることを告げてみる。
「私もそう思います」
トキヤも同じ思いだったようで、何故、と呟いている。
すると教卓の中から社長が顔を出していた。
──……っ!?
え、さっきまで何もなかったよね?
というかいつも派手な登場だからこう静かに出てこられると凄く心臓に悪いんだけど。
「水着である意味はアリマース」
社長は言う。
アイドルたるもの常に人の視線を意識して慣れておくことが大事だと。
それ作曲家コース関係ないよ。
作曲家コースの人間がステージにあがることなんて滅多にないから意味無いんじゃないだろうか。
ということは多分今言った理由は後からつけたこじつけでしかないと思う。
『水着の方が面白いから、とか思ったんじゃないですか』
「何故バレ……ゴホン、そんなわけナーシーよ。順番に学園長室来て下サイねー」
言うだけ言って、社長は教卓の中へと戻っていく。
…もう驚かないよ。
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