二人の協奏曲

□24
1ページ/1ページ



「ほっせー」
「白いねぇ」
「筋肉無いんじゃないですか?」

………。
だから水着は嫌だったんだ。

『皆好き勝手いわないでよ。俺は君らみたいにアイドル目指してないの。作曲家なの』
「そうだとしても白すぎだって」
『…引きこもりだからね』
「外出ろよ!遊ぼうぜ」
『やだ。翔の遊びってスポーツじゃないか』

心臓病持ってるくせに。

『夏は好きだけど外に出るのも日に焼けるのも嫌。スポーツなんて天敵なんだよ』
「天敵…って」

翔が呆れたようにため息をつく。
仕方ないでしょ。運動嫌いなんだから。

「引きこもってる割には無駄な脂肪とかついてないよな」
『それは…、…うん。トキヤなら分かるよね、"アレ"だよ。"アレ"。察して、なにも聞かないで』

ポン、とトキヤの肩を叩く。
ちなみに"アレ"とは社長の無茶ぶりを指す。
事務所の違うトキヤが知ってるくらいだから業界で社長の無茶ぶりは知れ渡っている。
多分一番の被害者は龍也さんだろうけど。

「"アレ"ってなんだよ」
『聞かないで、って言ったよね、翔。世の中には知らない方がいいときもあるんだよ』
「あ、おぅ…」

俺の顔がすごいことになっていたのか翔は少し引きぎみに頷いた。

「アキ、そろっと順番みたいだよ」

いつの間にか診察を終えた神宮寺が戻ってきて教えてくれる。

『ん、分かった。じゃあ行ってくるよ』

肌を露出する趣味はないので学園長室まで緑のパーカーを羽織って向かう。
着く直前に脱げばいっか、と思いながら歩いていると暗い顔した一十木とすれ違う。
なんかこの世の終わりみたいな顔してるけど大丈夫だろうか。



.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ