二人の協奏曲

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結論で言ってしまえば、何も問題はなかったらしい。
余命1ヶ月と宣告されて焦った一十木に、それはミスだと社長が告げたその場に居合わせたトキヤが教えてくれた。
目の前でイチャつかれて疲れました、とため息をこぼすトキヤだが、その顔は言葉に反してホッとしたような安心したような表情をしている。
ふうん、と答えて目の前の龍也さんを見る。

「お前ら、くじ引け」

そう言って箱を用意した龍也さん。
文句も言わず全員引き終わると当然疑問が上がる。

「それは…」

説明しようとしていた龍也さんを遮って、大きな音が響いた。思わず驚くと、床板を突き破って現れた社長。
だからどういう仕組みになってるの。

「お答えシマショーウ!それはズバリ!『Sクラス限定!越えろ早乙女学園長!!倒せばすぐにデビューだぜ選手権』の抽選券なのデース!」

ドドーンパ!と効果音を口で決めた社長に、クラスの人達は沈黙。
何のことかよくわかっていないんだろう。
そんな沈黙を破ったのはトキヤの、

「……くだらない」

という一言と、クジを裂いた音。
何スルンデスカー!と食って掛かる社長にトキヤは冷静に正論ともとれる言葉を返す。いや本心だろうけど。

「むむむ…。そこまで反発されればミーにも考えがありまーす。本来は五番を引いたMr.神宮寺に与えるものデシタガ、Mr.一ノ瀬に変更デース!」
「……オレは五番だなんて一言も言っていないが」

はじめから仕組まれてたって事だろうな。

そして、と社長は続ける。

「Mr.一ノ瀬にはパートナーが居マセン!ならばMr.一ノ瀬にとって大事な人はMr.深水!!」
『……は』
「てことで秋音サンにはミーと共に来てもらいマース!!」

ガシリと脇に抱えられ、そのままダッシュ。

「返してほしくばミーを倒してみるがいい!」

そう、言い残して。




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原作とは微妙に違います

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