二人の協奏曲

□2
1ページ/1ページ



正直学園の見取りはわかっている。
たまに使わせてもらうことがあるからだ。
俺は先程のHRでパートナーとなった神宮寺レンと、担任である龍也さんに着いていく。
ちなみに神宮寺は翔達とは仲が良いらしい。

「つまらなさそうだな」
『事実、つまらない』

先程から単純かつ簡単な会話しか交わさない。
俺としては見取りもわかってるんで教室で作曲させて欲しかったがそれも叶わない。

「アキは、どんな曲を創るんだい?」

どんな、か。
基本やろうと思えば何でもできるようになった。

『神宮寺の歌いたい曲調を教えてもらえば、そこからアレンジする』
「…そうかい」
『それとも何曲か創ろうか』

そして会話は途切れる。
俺は龍也さんを見失わないように気を付けながら、常に持っている鞄から白紙の五線譜を取り出し、書き込んでいく。
場所に関係なく、思い付いたメロディーを書き出していき、繋げていく。
この行動はもう癖みたいなもので、酷いときにはまわりが一切聞こえなくなるくらい集中してしまう。
そうならないようにまわりを気にしながら歩いていると、何処からか歌声が聞こえた。
決して巧くはないが、心に響く何かがある。

きっと、彼らは生き抜くだろう。
そう確信して、俺は五線譜に目を落とした。


.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ