二人の協奏曲

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『…那月と聖川が組んでる…?』

ふと、目に入った二人組。
よく見ると制服に身を包んだままの生徒が大半。
社長…いや、担任は林檎さんだから林檎さんかな。
彼の事だから、参加人数が少ないから仲良い人同士でも組ませようとでも考えたんだろう。
だからって…、あぁ、うん。
羨ましいよ、聖川。
何で俺Sクラスなんだろう。
…社長の独断か。そういえば。

『…うらやましいな…』

ボソリと呟くとトキヤと、いつの間にか側に来ていた神宮寺が反応した。

「何がです」
「どうしたんだい?…おや、あれはシノミー…と、聖川」

神宮寺が目敏く俺の視線の先を見て、眉をしかめた。

『聖川が羨ましいなーと思ってさ』
「聖川と知り合いなのかい?」
『この前那月経由で知り合った』
「ふぅん。…アイツと仲良くなることはおすすめしないな」

相変わらず同室の聖川が気に入らないようで。

神宮寺の言葉を受け流し外を見ていると、スタートしたのかグラウンドから人が疎らに散っていく。
…社長はいったい何の課題を出したのだろうか。
しばらくすると校内が騒がしくなってくる。
時々聞こえる悲鳴は気のせいであって欲しい。
龍也さんも大変だろうな。予算計算。
それとも別のところからお金が出ているのだろうか。

……本当、今度は何を仕掛けたんだろうか、あのトラブルメーカーな社長さんは。




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