二人の協奏曲

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後日、那月に"Aクラス特別授業"でいったい何があったのか聞いたところ、"アイドルの証"を探せ、という課題だったらしく、その道中に虫やら大玉やら地雷やら仕掛けられていたとかなんとか。
…地雷?

「それを踏んだら人の知られたくない過去が暴露されちゃうっていう…」
『トラウマを抉るっていう感じ?』
「うん。あ、アキちゃんのは流石に無かったよ。あれは、簡単に踏み込んじゃいけないものだから…」
『………』

出来れば知られなくない過去。
本当は、逃げてちゃ駄目なんだろうけど。

『…那月、この話はもう終わり。それより今度、体育祭あるよな』
「うん」
『那月ちゃん、何に出るんだ?』
「んーとね、借り物競争だったかなぁ」
『借り物競争か。確か翔も出るぞ』

この前のHRでやけに張り切っていた気がする。

「翔ちゃんが?翔ちゃん、体動かすの好きだもんね」
『なんでわざわざこの学校来てまで休み時間サッカーなんてやってんだよ』
「でもそれが翔ちゃんですよね」

まぁ、確かに。
でも無理が祟らなきゃ良いけどね。
そしたら俺が薫に怒られる。

「ただいま」

何故か翔の話題になり、那月と話しているとその本人が帰ってきた。

「おかえりなさい」
『おかえり。邪魔してるよ、翔ちゃん王子』
「おう。つか翔ちゃん言うな」

王子は良いのか。
まぁ、良いんだろうな。自称王子だし。

「何の話してたんだ?」
『この前の"Aクラス特別授業"』
「あれかー」

翔は聞いていたのか、納得したように頷く。

「音也からも聞いたけど、レコーディングルームいっぱいに風船が敷き詰められていて、割ったら水とか鰻とかヒヨコとか出てきたらしいぜ」
『はぁ!?』
「だよな。どうやって入れたんだって話…」
『精密機器多いのに…』
「ってそっちかよ!!」

また龍也さん、大変だっただろうな。

「あのおっさんの考えることがわかんねぇ」
『社ちょ…シャイニーの考えることが分かったらすごいと思う』

あの人は人類とかじゃなくてシャイニング早乙女っていう分類で良いと思う。
音速で移動する人間なんて俺は知らない。




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