二人の協奏曲

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目を開けると白い天井が見えた。
痛む頭を押さえながら起き上がると視界一面に広がる白。
あぁ、医務室か。
状況を理解したと同時にズキリと痛む頭。

「アキちゃん?」

ベッドを仕切るカーテンが開き、那月が顔を覗かせた。…なんか泣きそうな顔してる。
そう思った瞬間、俺は那月に抱き締められていた。

『な、那月…?』
「…良かった…。…目を覚ましてくれて…本当に…」

目を、覚ましてくれて?

『那月、俺ってどれくらい意識無かったの?』

なんとなく、聞きたくないような気がした。
でも聞かないといけない。

「──…1週間」

1週間。
聞き間違えじゃなければそうだ。
那月は続ける。

「ずっと、死んだように動かないから、どうしよう、って」
『…そっ、か』

那月は泣いていた。
その綺麗なライトグリーンの瞳を閉じ、俺の肩口に顔を埋め、泣いている。

『…まだ、駄目みたいだ』
「………、?」
『あんなに時間が経つのに、まだあの時を覚えてる』
「……うん」
『忘れないと、って思うのに、より鮮明になって、那月にも、心配、かけて、…』
「…アキちゃんが気にすることじゃないよ。僕がアキちゃんの傍に居たいだけなんだから…」
『……うん…ありがとう』




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