二人の協奏曲

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side.蘭丸


『蘭丸、デートしない?』

突然訪ねてきたと思ったら開口一番にそんなことを言ってきた秋音になんやかんやとほだされて、その数日後、気が付いたらシャイニングの親父が経営する遊園地の入り口にいるオレ。
いや、オレは別に構わねぇけど…ってちょっと待て。
何いってんだオレは。
つか確か秋音には好きな奴がいた筈だ。

『お待たせ。待った?』
「いや…、オレも今来たとこだ」『そう、ならよかった』

駆け寄ってきたコイツは自分から"デート"だと誘ってきたからなのか、普段と違って軽めだがセンスの良さが分かるような服装だった(別に普段はセンスが悪いわけではない)。
対してオレはあまり普段と変わらない。

「…服、似合ってんな」
『ほんと?蘭丸なら気に入ると思ったんだ』
「んなに気ぃ使ったのかよ」

阿呆か。

『ま、それより遊ぼ。最近学校と作曲活動と忙しくてさ、今日は久し振りにOFFの日なんだ』
「そんなに忙しいのか?」
『忙しいよ。授業課題に仕事に…社長は一体俺に何を目指させるつもりなんだろうか』
「それはオレに聞かれても知らねぇよ」

作詞に作曲、楽器に歌唱力と、その他音楽的な要素総てに長けている秋音。
容姿も整っていることからアイドルをやっていても違和感はない。
というかむしろ何でアイドルじゃねぇんだって思うときもあるが、本人曰く、歌うのも好きだけど人前に出るのは嫌なんだよね、とのこと。
ついでに欠点を挙げるとすれば、体力がない、それに尽きる。
だが時々思うのが、コイツの仕事量を考えると体力なきゃ出来ないんじゃねぇのか…?ということ。

『最初はどこ行く?ジェットコースター?コーヒーカップ?急流滑り(ウォーターコースター)?』
「絶叫系ばっかだな、オイ!」

甘く見るなよ、コーヒーカップ。
あれは時に絶叫系へと変貌する乗り物だからな。

「最初か…。やっぱジェットコースターじゃねぇか?」
『よしそれでいこう』

即決かよ!
秋音に手を引かれながらジェットコースターへと向かう。
普段では見れない、秋音の無邪気な笑顔に自然と頬を緩めていた。




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