二人の協奏曲

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「ランランばっかりズルい!!」

打ち合わせの途中、不意に雑談モードになった途端、イスをガタッと音を鳴らして嶺二が立ち上がった。

「なに嶺二。うるさい」
『いきなりどうしたの』

「だってズルくない?ぼくはこーんなにもお誘いしてるのにさ、ランランはアキから誘ったって聞いたよ?」

どーしてぼくも誘ってくれないの、と嶺二が俺の背中にまわりながらいう。
いや、どうしてと言われても、その日たまたま空いてたのが蘭丸で、俺が遊びたい気分だった、ってだけなんだけど。

「ボクはお茶した」
「!?」
『カミュとはすれ違っただけだよね』
「あぁ」

1日に何度も、だけど。

「まって。じゃあぼくだけすれ違うのも一度だけでお出かけしたのもないってこと…?」

なんでこいつはこんなにショックを受けてるの。

「やっぱり皆ズルいよぉ!アキはなんでぼくと遊んでくれないの!!」
『嶺二が忙しくて捕まらないだけじゃない?』

もしくはタイミングが悪いか。

「じゃあ!今度の火曜日空けててよ。まだ夏休みでしょ?」
『確かに学校は休みだけど、一応シャイニング事務所の作曲家だからねぇ…。仕事はあるよ』

「………。忙しいもんね、アキ」
『まぁ急用が入らなければ時間くらい作れると思うけど』
「ほんと!?約束だからね」

よーしテンション上がってきた、と嶺二が叫ぶ。
他三人は可哀想なものを見る目で嶺二をみていた。


そんなことを話していた数日後。
つまりは火曜日。

『ごめん、嶺二。社長に呼ばれたから遊びに行けない』
「……え」
『本当ごめんね。今度何かで埋め合わせするから』
「…あ、うん、仕事なら仕方ないね、…うん」
『それじゃあ』

踵を返して社長室へ向かう。
嶺二があまりにも寂しそうな顔をしたからつい、埋め合わせする、なんて言ってしまったけれどどうしよう。





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