薄桜鬼
□十六章
1ﾍﾟｰｼﾞ/3ﾍﾟｰｼﾞ
あれからまた紗世ちゃんに繋がらなくなった。
戻る方法はまだわからない。
………こっちでも同じように命を落としたら戻るのかな…。
だけど、
斎藤さんと結ばれたんだよ？
死んでも構わないと思ってたけど、
こんな私でも良いって、手を取ってくれた斎藤さんと一緒にいたい。
離れたくない。
もやもやしながらいつものように刀を素振りしていると、
ｶﾗﾝ、
｢…………え｣
手から刀が滑り落ちた。
というより、手が………透けてる？
｢や、やだ！消えたくない！｣
慌てて手を握ったり振ったりするともとに戻った。
ほっ、と安堵したが、不安が募る。
いつ消えてしまうかわからない。
まだ、もう少しだけ。
お願いだからあともう少しだけ時間を……。
(………消えたくないよ…)