薄桜鬼
□最終章
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「これ由美ちゃんの分」
「千鶴ちゃん、ありがとう」
「よっしゃ!じゃあ花見始めようぜ!」
「って言いながらすでに始めてるけどね」
すでに永倉さんと原田さんと平助くんは飲み始めている。
斎藤さんの横に座ってみんなを眺める。
ゲームと変わらない賑やかで、でもみんなちゃんと真を持ってて、そんな人達に出会えたから、私はちゃんと前を向ける。
「みなさんにお話したいことがあります!」
斎藤さんは何も言わず前を向いている。
「急ではありますが、今日で、みなさんとお別れすることになります。お気付きの方もいるかもしれませんが、体が透けて・・・」
話しているとちょうど手が透けてきた。
驚いたようななんとも言えないような顔を向けられている中、斎藤さんだけはまっすぐ見つめている。
「死んだと思っていましたが、実は生きてて、私はちゃんと自分の時代に戻ろうと思います」
「斎藤・・・」
「由美が決めたことだ」
毅然とした態度で斎藤さんは頷く。
泣くわけにはいかない。
勝手に来て、勝手に去る私に呆れているはすだ。
「みなさんと過ごした日々、とても楽しかったです!
また・・・、はないけど、絶対に忘れません!」
「風間さんのことはなんとかしといたからね、千鶴ちゃん。安心してね」
斎藤さん、大好きでした。
突如、風が吹き、桜を舞い散らせていく。
私はゆっくりと目を閉じた。