薄桜鬼
□最終章
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お花見当日。
宴会は夜になったので、朝からはみんなそれぞれ仕事をしている。
私も千鶴ちゃんと一緒に掃除中だ。
「お昼からお花見の準備しよっか」
「うん。・・・あ、その前に少し外に出てくる」
土方さんに許可を貰って、この時代の街並みをゆっくり見ながら歩いた。
今でもまだここにいるのが不思議だ。
幽体離脱ってやつなのかなー・・・
「由美」
「あれ?斎藤さん・・・?」
いつもの優しい口調で私を呼ぶ声に振り返る。
「用は済んだのか?」
「はい!帰ってお花見の準備しないとですね!」
街の桜も満開になっている。
「斎藤さん、手を繋いでもいいですか?」
「!・・・あぁ」
言った私も照れながら2人でゆっくり歩く。
「またこうして・・・。いえ、なんでもないです。さぁ!お花見が待ってますよ!」
またこうして手を繋いで歩きたいです。
なんて言いかけた。
泣きそうになったのを誤魔化すように、少し早足で屯所に戻った。
私はこの時代にいてはいけない。
戻らないと。