薄桜鬼
□最終章
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彼女には彼女の生きる道がある。
それを俺が邪魔するわけにはいかない。
「またこうして・・・」
と言いかけた由美に俺は何も言えなかった。
最後に何を言えばいいのか思いつかず、屯所まで戻ってきてしまった。
すでに平助達は飲み始めている。
由美が立ち上がって、もとの時代に帰ることを告げても、俺は何も言えない。
「斎藤・・・」
「由美が決めたことだ」
自分に言い聞かせるように頷く。
由美が優しく微笑む。
突如、風が吹き、桜を舞い散らせていく。
薄れゆく彼女の姿を無意識に抱きしめていた。
「ッ!行くな」
「!・・・斎藤さん。戻ったら斎藤さんを探します。
私が生きる時代にいる斎藤さんを」
そう言って微笑んだまま、由美の姿は桜と共に散っていった。