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□dandy's talk 〜romantic journey番外編〜
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「 …凄い。…キレイな夜景……!」
瞳を潤ませ、感動するえる。



兄弟全員でえるを迎えに行き…
リムジンが到着した先は…元町の、高い天井と大きな窓が とても開放的なカフェ…。

函館山の麓なのだが、高台にあるため天候に左右されず 美しい夜景をみることができる。



「この時間は…営業していないとのことでしたので、場所をお借りしました。
……お気に召して頂けて、嬉しいです。」


「素敵です…! ありがとうございます。御堂さん。」


えるの笑顔に、微笑んで会釈する 御堂。


「えるさん。ご飯にしましょうね。…好きなものが食べられるように、ビュッフェスタイルにしてくれたみたいですよ。
…さぁ、行きましょう。
…要くんも、一緒に食べましょうね。」


「 ! …ですが、修一様…」


「…一緒に食べようよ、カナメさん。…えるちゃんだって、そうしてほしいよね〜?」


「うん♪ …みんなで食べるご飯は、凄く美味しいと思う。」



「…わかりました。いただきます。」

観念したような笑顔で御堂は返答した。







えるが、好きな料理を取り分け終わると…


「える、こっち座れよ! …一緒に食おうぜ…!?」


…雅弥に誘われるまま、席につくえる。

「…じゃあ、僕は ここにするよ。」

えるの 反対隣りに雅季が座る。

「じゃあ、僕はえるお姉ちゃんの前の席に…。」

ちょこんと 瞬が座る。

「…ああっ、みんなズルいよ! じゃ…シュンくんの隣に…」

裕次のあとに続いて、修一と御堂も席についた。






食事の間、えるのお土産話で盛り上がった。


「 …でね、美鈴っていう喫茶店、コーヒーが凄く飲みやすくって 美味しかったの…!
古くから函館にある、老舗のコーヒー店なんだって。…まゆちゃんが言ってた。」


ニコニコと話し続けるえる。





そんなえるを見て、瞬は呟く。

「えるお姉ちゃん…元気そうで、良かった……。」

「…そうだね、シュンくん。…無理して明るく振る舞っている風でもないし、ねっ。」

小声で返事する裕次。
コクンと頷く瞬。


えるの笑顔に……兄弟達も癒やされ、自然と笑顔がみられる。






「…すっごくいい匂いで…店頭で、コーヒー豆売ってたから……店員さんのオススメ、買って来ちゃった♪
…今度みんなで、飲んでみようね!」


そう言って、バックからコーヒー豆を取り出して見せるえる。





「…今、飲めば良いんじゃない? …食後のコーヒーに。」

雅季が 冷静に言う。

「…マサキくん、それは無理だよぅ。…挽いてないから……。」


「…そんなことないよね。要さん。」

微かに微笑んで 御堂に話しかける雅季。


「はい。…手動式のミルですので、多少時間が掛かりますが。」


御堂が立ち上がり、えるの席に近づく。


「える様。豆をいただけますか?」

呆気にとられながらも、優しく微笑む御堂に 豆を渡す。


「…では、淹れてまいりますので、皆様 お待ち下さいませ。」




「…待って! 御堂さん。」

厨房に向かおうとする御堂を、えるが呼び止める。

振り返ると…



ワクワク顔のえる。


「…手動のって、あの 回すアレでしょ!? …私、回したいなぁ…。 楽しそう♪

……ダメ ですか……?」


くるくると変わる えるの表情に、

…思わずクスっと 笑う修一。



「…どうでしょう…要くん。みんなで、えるさんセレクトのコーヒーを淹れてみては。」


「…それも、面白そうだな。」

修一の提案に、笑顔で話に乗る雅弥。


「…えるちゃんが挽いた コーヒーが飲めるなんて……」

「…うん。楽しみだね♪」

うるうる と、感動する裕次と、ニッコリ笑顔の瞬。



「…お湯を注ぐのは、要さんにやってほしいな。…味、変わってしまうから。」


冷静に言う雅季。だが、その表情は…嬉しそうだ。




「…かしこまりました。」
…笑顔で、応える御堂だった。






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