とある男女の裏表戦争
□シティ
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「どういう風の吹き回しだ?」
「、別に。ただの気分。」
「ほう?お前はただの気分だけで自分の過去を、それも自分の天敵に話せるんだな。」
「...そんなんじゃない。」
「違わねぇだろ。」
「違う。」
「違わね「あたしは昔のあんたでしょ?」」
「ッ!!」
「だから、話すの。」
驚いた。
南の口から飛び出たのは想像を遥かに超える言葉で、気まぐれとかそんなんじゃねぇことは分かっていたけどまさかこんな言葉が出るとは思わなかった。
微かに口が歪んでしまう。
「(...やばい、嬉しいとか思っちまった。)」
とりあえず口元を手で覆い、怪訝そうに眉をしかめやる南をシカトして小さく深呼吸をした。
よし、大丈夫だ。
「とにかく場所移動すんぞ。ファミレスでいいか?」
「ファミ、レス..。」
「あ?何だよ。」
「..場所はあたしが提供する。それでもいいでしょ?」
何故そんなことを言い出したのか良く分かんねぇけどとりあえず頷いておいた。
するとスッと差し出される手。
俺もその意図を汲み取ってその手のひらに目的な物を素直に差し出した。
「やっと帰ってきた。」
そう言って真っ黒でシンプルな携帯を至極大切そうに握り締める南を見て、ほんの微かに罪悪感が胸をよぎった。
「ちょっと待ってて。」
「おう。」
そう言ってどこかに電話を掛け始めた南をボーッと見ていると電話が終わったらしい。
"すぐ来るから"と言う南に俺は小さく頷いた。