血の夜
□召集
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___side:y.o
草木も眠る丑三つ時。
俺は久々に街をさ迷っていた。
確かな喉の渇きを感じ...。
夜道をゆっくりと宛も無くさ迷う。
ふわりと吹く夜風が何とも気持ちがいい。
俺は小さく伸びをしながらのんびりと歩を進めた。
男「あのさぁ...金、貸してくんない?」
人通りのほとんどない十字路の角を曲がった途端、チャラチャラした男達と鉢合わせしてしまった。
数人の男がこっちを見ながらニヤニヤしている。
忍「(何や、ついとらんなぁ...。)」
はぁ、と小さく溜め息をつく。
それはこの男に出会ってしまったからでも、絡まれたからでもない。
忍「今は、若い女が呑みたい気分やったのに。」
男「は?」
ポツリと呟いた言葉に、意味が分からないと言った風に男は首を傾げた。
まあ無理もないだろう。
だって俺は、
忍「Vampireやから。」
俺は次の瞬間、先頭の男の首筋に食らいついた。
そのまま何の躊躇も無く牙を男に突き立てる。
やはり男は堅くてやりにくい。
男「何すん、だ...ぁ..がッ..うぐ..ッ..ッ..!!!」
ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ、
最初は五月蝿くもがいていた男だったが、ものの数十秒で動かなくなり、最後は生気を失い地面に崩れ落ちた。
口元の血を手で拭い顔を上げると、他の男達は今の光景に腰を抜かして動けない様子だ。
忍「何や...情けない。」
忍「(なーんて。こんな化けもん目の前におったら、そら腰も抜かすわな。)」
そんなことを思いながら俺は男達を見下し、ニヤリと人間には存在するはずのない牙を覗かせた。
そしてその数分後。
先程まで俺が居た曲がり角には、今となっては男達"だったモノ"が数体転がっているだけだった。