血の夜
□変貌
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鳳「なん、で...。」
鳳の言葉が、無音の部屋に響いた。
かく言う俺も、目の前で起きている現実に微動だにも出来ない。
確かに俺は亮ちゃんの血を呑んだ。
その証拠に、いつもの様な激しい喉の渇きはない。
なのにどうして...?!
宍「ッ....ぅ...。」
俺が呆然としながら普段使わない頭をフル回転させていると、かすかに亮ちゃんが呻き声を上げた。
鳳「宍戸さん!!!」
鳳がハッとした様に亮ちゃんに駆け寄って抱き寄せる。
すると、亮ちゃんはビクンッビクンッと大きく痙攣し始めた。
宍「ぁっ..ぐ...が..はッ....!!」
鳳「宍戸さん!!!宍戸さん!!!」
苦しそうに痙攣し続ける亮ちゃんに、鳳は懸命に亮ちゃんを強く抱き締めながら名前を呼び続けた。
何度も何度も何度も....。
すると、いきなり亮ちゃんの痙攣は止まり、呼吸も落ち着いたのだ。
俺も鳳も、自然と体の力が抜ける。
慈「よかった...。」
俺は無意識に呟く。
だが、本当の苦しみはこれからだった。
宍「....ぅッ...ぐッ、あ"あ"あ"あ"ぁぁぁッッッッ!!!!!」
亮ちゃんは、体を大きく震わせながら喉が裂けんばかりの呻き声を上げた。
いや、もはや絶叫に近い。
ドンッ!!!
鳳「ッぐ!!!!」
苦しそうにもがいている亮ちゃんが、先程まで抱き寄せていた鳳を吹き飛ばしたのだ。
運悪く鳳は、机に突っ込み低く声を漏らす。
宍「ぐあ"ぁッッッ!!!!あ"ああぁッ!!!!」
尚も亮ちゃんの絶叫は、激しさを増すばかり。
俺も鳳も、ただ何も出来ずに亮ちゃんを見つめることしか出来なかった..。