血の夜
□覚悟
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忍「Vampireなんや。」
宍「うわあああぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!!!!!」
宍戸さんの悲痛な叫びが静かな公園を駆け巡った。
宍「は、あ..ぁ゙...はぁ..。」
苦しそうに肩で息をしている宍戸さん。
目には溢れんばかりの涙が溜まっており、頭を抱えては時折キツく目をつぶり何かに耐えている様だ。
そして俺には、そんな宍戸さんが必死に自分の中の何かと闘っている様に見えた。
それから何分経ったのだろう...。
ジャリッという音がして、ずっと伏せていた顔を少し上げると、地面に膝を着いていた宍戸さんがゆっくりと立ち上がっている所だった。
すると、宍戸さんの体がグラリと前のめりに倒れ掛けた。
鳳「危ないッ!!」
間一髪の所で宍戸さんを支える。
鳳「ッ...。」
間近で見た最愛の人は、一瞬息が出来なくなる程小さくて儚かった。
鳳「大丈夫、です..か...?」
宍「...あぁ。」
宍戸さんは小さくそう答えると、俺の腕から離れしっかりと立ち上がった。
そしてスッと顔を上げた宍戸さんは...俺の大好きないつもの宍戸さんだった。
宍「長太郎、忍足...それから慈郎。..覚悟決めたぜ。」
忍「それは、Vampireとして生きていく覚悟か?」
忍足先輩の射抜く様な鋭い視線にこちらが緊張してしまった。
そして宍戸さんの言葉を固唾を飲んで待つ。
宍「俺は...Vampireとして生きる気はねえ。」
鳳「え?」
忍「どういうことや。さっきも言うたやろ、お前はもうVampireなんや。」
宍戸さんのハッキリとした声は、俺達を混乱させるには十分過ぎる位のものだった。