とある男女の裏表戦争
□シティ
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「くしゅッ。」
「寒いのか?」
「...平気。」
そう言う南は小さく身震いをしていて如何にも寒そうだった。
昼間は暖かな日差しが出ているが夜となればそれはガラリと変わってしまう。
日が暮れれば気温は下がるし冷たい風も出てくる。
また南がくしゃみをしてほんの少しだけ目線を泳がせた。
やっぱりこいつは嘘が下手だ。
「つまんねぇ嘘吐いてんじゃねぇよ。」
「平気よ。」
「平気じゃねぇだろ。どっか移動すんぞ。お互い風邪引いても困るしな。」
「は?あたし帰るんだけど。」
そう怪訝そうに言う南に俺は鼻で笑い返した。
「帰る?馬鹿言ってんじゃねえよ。」
「...は?」
「次はお前の番だろ、南。」
「ちょ、ちょっと待って、勝手に決めないでよ!!あたしは話せない!!」
俺はうまく引っかかった南に分かりやすく口を歪めた。
やっぱり馬鹿だ。
「話せないってことは過去になんかあったってことだよな?」
「あ..。」
ハッとその事実に気が付いた南が悔しそうに唇を噛み締めた。
そんな南に俺はより一層笑みを深めた。
「さてさて、どこで話を聞こうか?」
おちゃらけた様に言う俺に南が鋭く睨み付けてくるがすぐにそれをやめ、小さく呆れた様に溜め息をついた。
小さな"分かった"と言う声と共に。
予想外の反応。
南の性格からして自分のことを、それも天敵であるこの俺に話すなど頑なに拒むと思っといたから長期戦を覚悟していたのだ。
それがあんなにあっさりと。
ジッと南を見詰めてみるが怪訝そうな表情はしているもの、その場しのぎで嘘をついている様には見えなかった。
こいつの嘘はすぐ分かる。