Tactics~また逢おう,君が覚えていなくても~

□第零章
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──── 舞い散る 白



      闇夜を埋めて 雪で包んで





     降り積む 赤




      雪華を雫で 染め上げる─────








慶応元年、人里離れた山の中。

そこに、『御神(みかみ)の里』と呼ばれる集落があった。


御神家の一族が集まって暮らし、日々剣術を磨いている。



今日も、大きな道場では稽古が始められていた。



「はぁぁっ!!」



竹刀がぶつかり合う音。



「ぅわっ……」


少年の手から離れた竹刀が、宙を舞う。



「…やっぱり煌は強いなぁ」


地面に落ちてゆくそれを見送って、少年は向き直った。


「黎斗だって、強いよ」


彼に手を差し伸べて、目の前の少年も笑う。



歳が同じ二人は、一族の中では一番信頼し合っていた。


御神 煌(みかみ きら)と、御神 黎斗(みかみ あきと)。

煌にとって黎斗は、従兄弟であり親友でもある。


きっと、互いにそう思っているだろう。


小さな頃から、ずっと一緒にいたのだから…。


 
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