Tactics~また逢おう,君が覚えていなくても~
□第二章
1ページ/6ページ
──真っ白な雪に埋もれて…
視界が、真っ暗になった。
「──!!」
どれくらい、目を閉じていただろう。
否、眠っていた…かもしれない。
「…どこ……ここ…」
そこは、深い水の中。
でも、不思議と呼吸ができる。
現実感の無い、虚ろな空間。
「──助けて──」
「!?」
水を伝って、声が聞こえてくる。
「誰…?」
体をひねるようにして振り返ると、ひとりの少女が居た。
天那より少し年下くらいの、着物を着た少女。
少女の長い茶髪が、天那のたてた波紋に揺れる。
「お願い、もう私には助けられないから──」
「…何…を…」
混乱しつつも、問いかけてみた。
「──お兄ちゃんを」
「…あなたの?」
少女はそっとうなずく。
そして、天那の手を両手で包んだ。
「……」
生気を感じられない、冷たい手。
「──ごめんなさい」
「え──」
──どうして、謝るの?
→
次へ
[
戻る
]
[
TOPへ
]
[
しおり
]
カスタマイズ
©フォレストページ