*Short Story*
□つまみ食いは生キャベツ
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──僕らをつなぐ、運命の糸には…
生キャベツが、ぶら下がっていた気がします。
とある秋の日の晩、20時頃。
右の頬を赤く腫らした少年が一人、街中を歩いていた。
──腹、減ったな…。
少年の名前は藤島 友晴(ふじしま ともはる)、高校一年生。
とある家庭の事情で15分ほど前、家を飛び出してきた。
と言っても、家出とかたいそうなものではなくただの散歩。
──どうせ結局、あの場所にしか帰れない。
とりあえず、今は空腹をどうしかしなければ。
そう思い、彼は近くのスーパーに足を向けた。