Tactics~また逢おう,君が覚えていなくても~

□第二章
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──あれ?あたし…何してたんだっけ。



夜空が、視界を埋め尽くしていた。

背中には、硬くて冷たい雪の感触。


「っ…」


凍える体を震わせて、天那は身を起こした。


とにかく、寒い。


着ていたはずのブレザーとマフラーが無い。

そもそも、自分は屋上にいたはずなのに…。


「…!!」


初めて、天那は自分の周りがおかしいことに気付く。


見える景色が、どこか時代劇じみていた。


むき出しの木でできた建物。

全ての家が瓦屋根。

電柱や道路標識の無い道。


「…古風だなぁ」


──どこだろう、ここ。




「──うわぁぁぁ!!!!!」



静かだった世界に、不適な悲鳴が響いた。


「!?」


──何?今の!?


悲鳴、というよりもっと苦しそうな。

時代劇で聞いたことがある、断末魔の叫び声に似ている。


「……」


ごくりとつばを飲んで、天那は声の聞こえたほうを向いた。


 
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