Tactics~また逢おう,君が覚えていなくても~

□第三章
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──二人目だ。


現代にいた頃の知り合いと同じ顔。


でも、高海 煌は本人じゃなかった。


怜祥は…───?



「すみません、僕は"依草"という名前ではありません」
「……」


天那は露骨にに肩を落とした。


何となく、違うような気はしていた。

相手が依草 怜祥なら、天那のことを知っている。

それに、煌と同じで髪の長さが違う。

この少年の黒髪は、鎖骨辺りまであった。

袴姿だし、どうみても"こちら"に元々存在していた人間だ。


「僕は冬笠 怜祥(ふゆかさ れいしょう)です」
「…怜祥……」


名前は同じ、だけど苗字が違う…。


だけど何故だろう、安心している自分がいる。


──泣きそうなくらい、安心する。




「手当てしましょう」
「…?」
「来てください」


怜祥は天那につかまれていた手を逆に握り返し、立ち上がった。

腕を引かれ、天那も立ち上がる。


「行きましょうか」
「どこに…?」
「この街の警備隊、"上総(かずさ)"の宿舎です」
「上総…」


 
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