ホラー
□ドライブ
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「そう言えば、クラスに茜いたじゃん??」
茜と言うのは高校生の時に三年間同じクラスにいた子です。
彼女はクラスの中でも特別に目立っていた訳ではありません。
どちらかと言えば少し大人しめの、言ってしまえば影の薄い子です。
私も、実際にその名を聞くまで忘れていました。
「あの子さ、なんか自殺したらしいんだよね」
「自殺??」
「そう。確か……卒業式の後だったよ」
驚きました。
クラスメートが自殺していた事もなのですが、何よりもそれが話題にならなかった事にです。
しかもそれが卒業式の後だというから驚きです。
彼女は頭が良く、私達のクラスでは常にトップ、しかも大学はかなり偏差値の高い──彼女の第一志望ですが──大学に受かっていたのです。
「なんかあったのかなぁ」
「さぁね。私もちぃから聞いた話だからさ」
“ちぃ”と言うのは私達2人とよく一緒に行動していた子です。
彼女は噂を集めるのが得意で、いつも何かを──例えそれがどんなに些細な事であろうと──知っていました。
そんな彼女からの話ですから、噂である可能性は非常に高いですがこの時はそれを疑いませんでした。
「ねえ、どこまで行くの??」
「ん〜………山登ってみようか」
「もしかして何も考えてなかった!?」
この時、山になど登らなければよかったのに。
今更後悔してしまいます。
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