まどろみ

□自覚症状皆無
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不意に呟かれた言葉に凍りついた。

「・・・・やっぱりなにか最近体の調子がおかしいな」

「えぇ!?ど、どうしたんですか絳攸さま!?ど、どこか痛いのですか!?」

「い、いや、痛いというわけではない。こう、胸の中がもやもやするというか」

――ずきん、と胸が痛んだ
もしかして、それは。

「そ、それはあの。・・・・誰かと一緒にいるとそうなったりしませんか?」

「あ、ああ。よくわかったな?やっぱりそういう症状が出る病があるのか」

――嗚呼、やはり

「それは、世間一般に」

「一般に?」

声が詰まって上手く話すことが出来ない。
ないてはいけない。

「恋煩い、というものかと」

「な・・・・っ」

みるみるうちに彼の頬が染まっていく。
嫌だ。
見たくない。
こんな表情を彼にさせる人がいるなんて。
ただ、傍にいて話せるだけでよかったのに。
それさえ、もう叶わない?
まずい。視界がぼやけそうだ。
下を向こうとした瞬間、不意に腰が引き寄せられた。

「お、俺はあの常春みたいに気の利いた言葉が出る訳じゃない。
――好きだ。俺はお前に惚れたらしい」

「・・・・っ!?」

呆然と見つめていた頬は赤かった。

自覚症状皆無
(その後黎深さまが入ってきて慌てて離れてはしまったけれど)
(ぬくもりさえ残っていればそれで十分)

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もう、堂々と傍にいれると。
絳攸は恋愛方面は鈍いと思う。
黎深は嬉しい反面子離れが嫌で小姑みたいになってるけど、それも全部わかってヒロインは笑っているといい。
最初の方は二人ともどもっているのはなんだかんだいって意識してたから。

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