連載番外

□だいすき
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拙者には5つになったばかりの妹がいる。


「…」


しかし、今日はやけにその妹の様子が変だ。


何と言うか…こう…落ち着きがなく、そわそわしている。



拙者が話し掛けても、



『兄上、あとでにしてほしいでござる!』



と言うばかりで、


おまけに拙者が部屋に近付こうものなら、



『来てはならぬでござるっ!』



と、舌足らずの忍者口調で跳ね退ける。



「わ、我が家の部屋は兄妹共有でござろう…?」



しかし、これも歳の離れた可愛い妹の為…我慢するでござる。













そして、夕方。



『兄上ー!今すぐ学校に来て下さいっ!』



拙者は無理矢理外に引っ張り出された。



おそらく【学校】とは、拙者ら兄妹が通う、忍者学校の事でござろう。



『兄上っ、はやくはやくっ!』


「イタタタッ!…お、女子が乱暴は控えるでござるよっ…!」












『あけてみて』と促され、拙者は教室の襖をそっと開けた。



すると、



パンパンパンッ!!



いくつかの派手なクラッカー音がした。



「!!?」





そして、



『せーのっ、』



「『誕生日おめでとーうっ!!!』」



妹の掛け声を合図に、襖の向こうにいた家族や忍者学校のメンバーが一斉に叫んだ。



「…そういえば…今日は拙者の誕生日だったでござるな…」



だからその用意の為にそわそわしていたのか…



『ふふ、やっぱり忘れてたぁ…行こっ!』



手を引かれて部屋に入ると、賑やかな宴が始まった。





 
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