連載番外
□一撃必殺、
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『…』
それにしても家族にそんな人、いたっけ?
父上、母上、兄上。
母上、兄上、父上。
兄上、父上、母上。
う〜ん……
何度復唱しても、【おにいちゃん】はいない。
『わ、分かんない…』
「…あ、ねぇっ!」
その時、トモエちゃんがうなだれる私の肩を叩いた。
『ん…何?』
「ほら、アンタの【お兄ちゃん】あそこにいるわよ!」
『え、本当!?』
私はがばっと顔を上げた。
その先には…
「おーい!!」
『あ、兄上っ!』
もうすぐ日が沈むので、私を迎えに来てくれた兄上。
『ありがと、トモエちゃん!じゃあまたねー!』
「ば、ばいばい」
やっぱりトモエちゃんは妙な表情をしていたけれど、私はさほど気にせず彼女と別れた。
『…うーん…』
周りを見渡したって、ここには私達しかいない。
「どうしたでござるか?」
『ううん、何でもない!』
【帰ろっ】と言って、私は兄上の手を繋いで帰った。
なーんだ、【おにいちゃん】なんでどこにもいないじゃん。