連載番外
□一撃必殺、
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『……ね、…眠れない……』
その夜、昼寝をした私は全く眠れずにいた。
【あんたの家族にもいるじゃない】
【ほら、アンタの【お兄ちゃん】あそこにいるわよ!】
すると、ふとトモエちゃんの台詞が蘇って来た。
私にはわからなかったけれど、確かにトモエちゃんは【いる】と言っていた。
『…まさか……』
私には見えなくても、トモエちゃんには【それ】が見えているんじゃないか。
まさか、彼女には【おにいちゃん】と言う名の何かが見えているんじゃないか。
『……』
…ううん。きっと違う。
そんなわけ、ない!
絶対信じないと言わんばかりに、ふるふると私は頭を振る。
『…んー………』
それでも気になる【おにいちゃん】。
一体、【おにいちゃん】とは何なのだろう?
思いとは裏腹に、募るのは得体の知れない恐怖感。
とにかく一刻も早く朝が来て欲しかった。
しかし、秋の夜は長い。
『…やっぱ、眠れないよ…』