長編小説1

□リージョン(失われた世界)第一章 はじまりの扉
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そして、心配そうに藤田が聞いてきた。「そういや、今日あれからずっと溜め息ばかりついてたけど大丈夫か?ほら、お前あんまり心配事とか表に出さないから」僕はそれに対し「だ、大丈夫だって、おまえがそんなふうに心配するなんてなんか調子狂うなぁ」と少しの恥ずかしさを紛らわすように言った。そうなのだ、昔っからこいつはそういうところがある。普段はバカばっかやっているようなヤツなのに意外と他に置ける信頼は厚いのだ。藤田とは僕が中学の時から一緒だった。最初は特に仲良かった訳じゃなかった。自分でも何がきっかけだったか覚えていない。それでも、少なくとも今はこいつが隣にいるのが当たり前になっている。「お前、最近考え事も多くなってるよな。考え事なんかにゃ縁がなさそうな顔してんのにな」と藤田は茶化した。「うるさいなぁ、朝から、しかもHR前に弁当食ってるヤツに言われたかねぇ。しかも、それが少しならいいものの全部食って尚且つその後で他のヤツのまで手出してるからタチが悪い」ちなみに他のヤツとはもちろんスバルなのだ…。こいつは計算してかせずか必ずこういう時には何らかの形で場の空気を変える。故に気を使わなくていいしスバルにとっても信頼を置けるやつだ。
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