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□妖狐×僕SS
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それは今から何年か前のこと−…
「むー…まだ苦味が強いような…」
白鬼院凛々蝶。旧家白鬼院家の令嬢で鬼の先祖
がえりでもある。
そんな彼女が何をしているかというと…
「この本にはこれで良いと書いてあるのだが…
コーヒーというのは難しいな…」
そう、コーヒーを淹れているのだ。
それも、“おいしいコーヒー”を。
「ふう…口の中にコーヒーの味が残ってしまっ
た…水でも飲むか…」
そしてコップに水を入れると三分の一ほどを
一気に飲んだ。
(僕の淹れるコーヒーの何が駄目なんだろう…やっぱり僕にはコーヒーなんて淹れられないのか…?)
(いや、そんな弱気では駄目だ!
あの人のためにも…)
ばしゃっ
「あっ」
肘がコップにあたってコップが床に落ちてしまった。コップが割れて水もこぼれてしまっている。