◆Library◇
□日向ぼっこ
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年上の私よりも大人っぽい貴方…
だけど、本当はまだ幼いのだから、甘えて欲しいのよ?
日向ぼっこ
季節はまだ冬。
相変わらずの寒さに、身が震える。
「晴れているのが、幸いね。」
空は快晴で、太陽が暖かい光をこれでもか、というように放ち輝いている。
コンコン
私の自室のドアがノックされる。
「どうぞ。」
「失礼します。」
そう言って入って来たのは、
セバスチャンだった。
S「おはようございます。」
右手を左胸に添(そ)え、綺麗に腰から礼をする。
「いつもながら、綺麗に礼するわね。」
S「ありがとうございます。」
「一杯の紅茶(アリーモーニングティー)なら、シエルと一緒に頂くわ。
行きましょう?」
S「御意。」
私はセバスチャンと一緒に、シエルの部屋へと向かった。
◇◆◇
「シエル…」
C「ん…」
セバスチャンはカーテンを開ける。
C「まぶし…」
「朝よ?紅茶、飲みましょ?」
C「クオリア…おはよう。」
「おはよう。」
2人で笑い合う。
チュッ
私はシエルの頬に口付けた。
C「なっ…///」
「フフフ…顔真っ赤よ?」
S「見せつけてくれますね。」
「羨(うらや)ましいの?」
S「どうでしょうかね?」
そう言いながら、私達に紅茶を渡してくれる。
それから他愛もない話をして紅茶を楽しむ。
C「…クオリア、そろそろ着替(きが)える。
部屋を出てくれ。」
「わかったわ、また後でね?」
C「ああ。」
部屋を出る。
シエルと次に会えるのは、午後の紅茶(アフタヌーンティー)の時間。
それまでは彼の言い付け通りに、書斎には入らないことにしている。
「何していようかしら?」
午後まで暇。
時間を乗り切るのは、意外に大変だ。
(庭に出てみようかな。)
私は外へ向かって、歩き出した。
◆◇◆
「フィニ!」
F「あ!クオリア様!
おはようございま〜す!」
「元気ね。お仕事ご苦労様。」
私はフィニの頭を撫でる。
F「ありがとうございます!」
照れながら、笑顔で私にそう言った。
F「そう言えば、何でクオリア様がお庭に?」
「今、することがなくてね。
散歩でもと思って。」
F「そうだったんですか。」
「少し歩いてくるわ。
あんまり張り切っちゃダメよ?
お仕事、頑張って。」
F「はい!」
フィニと別れ、私は庭を散策することにした。
“まだ”更地になってない庭は、とても美しい。
「あ…」
白い花弁(はなびら)が私の目の前を舞う。
思わず笑みを溢(こぼ)す。
「白い薔薇(ばら)…」
シエルの好む花。
棘(とげ)に触れないように、花を触れる。
彼が好むだけで、愛しいと思う私は、きっと重症だろう。
一頻(ひとしき)り花を愛(め)でた後、散策を続ける。
すると、芝生と1本の木しかない開けた場所に出る。
「そうだわ!」
私は閃(ひらめ)いた。
そのアイディアを遂行(すいこう)するために屋敷の中に戻る。
◇◆◇
「やっと見つけた。」
S「お嬢様?
どうなさいました?」
「今日の午後の紅茶(アフタヌーンティー)は、お庭でしようと思ったの。」
S「お庭で…ですか。」
「えぇ。お願いできるかしら?」
S「畏(かしこ)まりました。」
「シエルには私が言うわ。
貴方は準備をよろしくね。」
S「恐れ入ります。」
「お庭の何処でするか、言った方がいいかしら?」
S「いえ、ご心配なく。
承知しております。」
「流石ね。」
S「ファントムハイヴ家の執事として当然のことをしたまで、で御座います。」
「フフフ。じゃぁ、お願いね。」
私はシエルのもとへと向かった。
◆◇◆
コンコン
C「入れ。」
ドアを開けて、中に入る。
C「クオリア…」
「ごめんなさい、シエル。
伝えることがあったの。
伝えたら、直ぐに離れるわ。」
C「…用件は?」
「午後の紅茶(アフタヌーンティー)はお庭ですることにしたの。」
C「庭で…か。」
「えぇ。それを伝えに来ただけだから…もう行くわね。」
早々(はやばや)と部屋を出る。
「あ!そうだわ!」
突然また閃く。
再び、セバスチャンのもとへ。
◆◇◆
「セバスチャン!」
S「はい?」
「さっきのことでなんだけど…」
S「午後の紅茶(アフタヌーンティー)の件ですね?」
「テーブルとイスは用意しないで。」
S「畏(かしこ)まりました。」
「重ね重(がさ)ね、ごめんなさいね。」
S「お気になさらずに。
これが私の役目で御座いますので。」
「でも、ありがとう。
いつも感謝しているわ。」
S「恐れ入ります。」
綺麗に礼をする。
「それじゃ、また午後の紅茶(アフタヌーンティー)の時にね!」
そう言い残して、自室に向かった。
◇◆◇
ベッドにダイブする。
「う〜…」
何となく倒れ込んだベッドの上で、意味なく唸(うな)る。
ただ単に暇なだけ。
「寝ちゃおうかな…」
一人言を呟(つぶや)く。
「でもダメ…」