◆Library◇

□かくれんぼ
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私の人生は、生まれて来てから
" かくれんぼ "が始まっていた。

お遊びの" かくれんぼ "ではない。

私はいつ終わるかもわからない" 恋のかくれんぼ "をしているのだ。


かくれんぼ


「ただいま。」

誰もいない家。
お帰り、なんて返って来ない。

私の家庭はもう冷(さ)めきっていた。
そして、私の心も比例(ひれい)するように冷たくなる。

...愛して欲しい、誰かに...

それには...当たり前だが、
相手が必要。

かくれんぼの鬼=運命の人 が、
私を見つけてくれるのを待っている。

「私を早く、見つけて...」

押し潰(つぶ)されそうな寂しさに耐(た)えながら、今日も眠りにつく。


◆◇◆



翌日。
いつものよう学校に通う。
楽しくもないその日常は、退屈(たいくつ)でしょうがない。

今日は人生で初めて屋上で授業をサボった。

「サボっちゃった...」

何となく気分が沈む。
きっと、悪いことをしたから罪悪感(ざいあくかん)がそうさせているんだろう。

「ハァ...」

溜(た)め息をつく。
幸せが逃げようが関係ない。
というより、幸せじゃないんだから溜め息が出るんだ。
なんて、心の中で一人言を言う。

空を見上げれば、綺麗(きれい)な青。
私の心とは大違い。

「青い...」

c「当たり前だろう。」

声の方に顔を向ければ、生徒会長のシエル君が立っていた。

「何で生徒会長が?」

c「何処(どこ)かのバカな女子生徒が、
授業をサボっているせいで、
僕がその対処(たいしょ)に向かわせられたんだ。」

「そうですか。」

c「...誰のことか、わかってるのか?」

「わかってますよ。私、でしょ?」

c「なら、わかるだろう?僕の言いたいことが。」

「教室に戻ります。ご迷惑をお掛けしました。」

気分は晴れないまま、ここを離れる。

生徒会長が来ると言うのを忘れていたのが悪いか...
いや、そもそもサボった私が悪いか...

意味もなくそんなことを考えていた。
扉に手をかけた時...

c「おい、待て。」

呼び止められた。

(お叱(しか)りかな?)

生徒会長を見る。

「何でしょう?」

c「何で、サボったりしたんだ?
お前はそんなことするようなヤツじゃないだろう?」

「え?」

私と生徒会長は特に接点はない。
今初めて会話したのだ。
なのに、彼は私を知ったように話す。
何故(なぜ)?

「貴方(あなた)が私の何を知っているのよ。」

口をついて出たのは、ひねくれた言葉。

「私がどうしようと私の勝手でしょ?ほっておいて。」

可愛くない私。
こんな私が、誰かから愛して貰(もら)えるわけない。
だから、鬼さんは私を見つけてくれないのかな?
いや、探してくれないのかもしれない。


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