◆Library◇

□パンドラの箱
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そして出会った。
あの悪魔と…

『ほっ本当に現れた!!』

『私に永遠の命と富を与えたまえ!』

仮面をつけた者共が騒(さわ)ぐ。


この集会(ミサ)の目的…
悪魔の召喚(しょうかん)だった。

アイツは檻の中の“僕”に言う。

『貴方は大きな犠牲(ぎせい)を払った。悪魔(わたし)と契約(けいやく)して願いを叶えるも叶えないも貴方の自由。
渡り賃(ちん)はしかと頂きましたから。』

舌舐(な)めずりをする。

『ぼ 僕は…』

鉄棒(てつぼう)を強く握(にぎ)り、涙を流し叫(さけ)ぶ。

欲しい…
力が欲しい…
僕らをこんな目にあわせた奴らに復讐(ふくしゅう)する力が!!


『ひ…!?誰かアイツを黙らせろ!』

悪魔!お前と契約する!!

『光を棄(す)て奈落への道を選ぶと…
良いでしょう
では互いの身体(からだ)に契約書を。
目立つ場所に刻(きざ)む程大きな力を執行(しっこう)できる。
さあどこに『どこでもいい 誰にも負けない力が欲しい!!

アイツの手が“僕”に触れる。

『小さな身体で何と強欲(ごうよく)な
では
絶望的な世界を映すその大きな瞳(ひとみ)に!』

左目を覆(おお)うように顔を鷲掴(わしづか)みにされる。

うああ゛ああ゛ああああ゛ああ

光が辺りを包む。
痛みが左目を襲う。

そして、最初に下した命令。

『命令だ!!殺せ!』

舞い散る鮮血(あか)と舞い踊る悪魔(くろ)
僕を汚した者共は生き耐えた…
檻から出されアイツと向き合う。

『貴方のお名前は?』



『僕の名前は…』

『…シエル』

『シエル・ファントムハイヴ
ファントムハイヴ伯爵家を継ぐ者。』

『ふふ…成る程良いでしょう。では私も伯爵にお仕えするに相応しい姿にならなくてはね。』

執事の姿に変わり、僕に歩み寄る。

『さあ、何なりとご命令を。

小さなご主人様(マイロード)。』

僕はアイツに3つのことを命じた。

復讐を遂(と)げるまで裏切らず守り抜く事

僕の命令には絶対服従

絶対に嘘を吐(つ)かない事

そして、僕は名のないアイツに名前をやった。

セバスチャン

犬の名前を…

そうして屋敷に戻り、今現在の僕になるまで時を重ねた。

あの箱を開けたのは、良くなかった…

汚いモノばかりが入っていたから…

『シエル…』

誰かが僕を呼ぶ。

『シエル…』

◇◆◇

「シエル…」

C「ん…」

「やっと起きた…大丈夫?
魘(うな)されてたけど、悪い夢でも見た?」

C「クオリア…?」

「寝ぼけてるのかしら?」

ああ、そうか…―

僕はクオリアを抱き締める。

「シエル…!?///」

C「お前がいてくれて良かった…」

「私は、ここにいるよ。
シエルの傍に。」



C「命令だ」

僕に向かって、
優しく微笑むお前は…

C「僕の傍を離れるな。」

「yes my lord. (イエスマイロード)」


パンドラの箱


記憶(パンドラ)の箱の中に残された
一筋の“希望”なんだ



end



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