スクアーロ

□しろねこ
1ページ/4ページ


『はっ!!せいっ!!たぁあっ!!!』

愛用の武器、2本の短刀を振り回す。

ガンッと鈍い音を響かせて片方を弾かれた。


「脇ががら空きだぜぇ!!」

瞬時にもう片方の短刀で防ぐ。


ガキィィイン!!

アタッコ・ディ・スクアーロ。


『うぐっ…。』

どさっと芝生に座りこむ。

「惜しかったなぁあ!アニー!」


『はぁー…。やっぱスクアーロ隊長には勝てないかー!』

ここはヴァリアー邸中庭。大きなポプラの木の下。



私はスクアーロ隊長に稽古をつけてもらっていた。

ぽんと差し出されたミネラルウォーターをぐびぐびと飲む。


ぷはーっと息を吐き、生き返った!と言うと、オッサンか。とツッコまれた。



『よし!リベンジ!!』


「回復早いなぁ!!まだやんのかぁ!?もうそろそろ昼飯の時間だぞぉお!」


『いいじゃん!勝ち逃げは許さないんだぜ!』



にかっと笑うと、スクアーロはしょうがねーなぁと言いつつ、ペットボトルのキャップを閉める。



なんだかんだで付き合ってくれるのだ。



心の中で感謝しつつ、スクアーロが剣をとるのを見ていると。



「にゃーん…。」


…ん?



「よっしゃ、やろうぜぇえ!!!」


『待って、スクアーロ。なんか聞こえる。』



「は?」



スクアーロも眉間にシワを寄せて耳を澄ます。



「にゃーん…。」


『聞こえた?』


「…あぁ。」



『たすけてって。』

「ゔぉぉお゙おい!!猫だろ!!なんで言葉通じてんだぁあ!!」



『あっ!ほらあそこ!』



スクアーロのツッコミを無視して指差す。


大きなポプラの木の幹に小さな白い猫を見つけた。



「降りられなくなったんだなぁ。」


『大変!たすけなきゃ!』


急いで上ると、怯えたようにこちらを見る子猫。


「にゃー…にゃー…」


『大丈夫だよ、ほら、おいで。』


にっこり笑って近づくと、大人しく捕まった。


よし、降りてミルクを飲ませてあげよう。


ミッションクリア!と心のどこかで浮かれてたのか、木の幹から足を踏み外した。


『わわ、わきゃっ!?』


「アニー!!」


落ちる!



しかし想像した痛さは襲ってはこなかった。


「危なかったなぁあ!?」



『ーっ!…スクアーロ!!』

スクアーロが、姫抱きにしてアニーを猫ごと受けとめていたのだ。



「…ぷっ、くく、ははははっ!!!」


いきなり笑いだした。
おい、人の顔見て笑うとか失礼だぞ。そしておろせ。恥ずかしい。


『す、スクアーロ?まずおろしてほしいんだけど…。』


「ははは…って、悪い。お前、わきゃって、わきゃって…、くくく、似合わねぇ叫び声だなぁあ!!」



『な、なんだよ酷いなぁ!!私だって一応女の子なんだからな!!』



「しかもわきゃってなんだぁ?わぁ!でもなく、きゃあ!でもなくわきゃって、融合してんじゃねーかぁ!!」

なおも楽しそうに笑うスクアーロ。


酷い酷いと言いながら、アニーは内心ちょっと嬉しかった。


こんなに爆笑してる彼を見るのは、久しぶりだった。


『ぷっ…あははははっ!!ちょっと、笑いすぎだから、スクアーロ!!』


アニーも、スクアーロと一緒に笑う。


彼と一緒にいると、笑いが絶えない。


心から幸せに思う瞬間だった。




.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ