long story

□壱
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昔々、これは然程遠くない、昔のおなし。

其処には集落があった。
集落に住む人々は強さに焦がれ鍛錬を積んだ。

或る者は岩を砕き、或る者は山を崩し、或る者は風で天を切ったとか。
切磋琢磨に己の力を磨くうちに何時しか、地球上最強部族と唱われるようになった。


彼らは強かった。
しかし同時に彼らは弱かった。

鉛が降れば頭は割れ、
骨が折れれば数ヶ月動かなくなる。
腕がもげれば激痛は走り、血が出れば死に至る。

どれだけ強くなろうと、彼らは所詮は人間、その先の領域に踏み入れることはできない、

はずだった。



或る者が言った。

「儚い強さなど、弱者と変わらない。本物の強さを手に入れるために我々は全てを捧げなくてはならない。」

或る者の言葉に1人が惹かれ、其れに続き1人、また1人と賛同の声を上げた。


そうして、彼らは禁断の果実に手を染めてしまうのであった。







「おーにさんこーちら...」






禁断の果実に手を出した部族はその身を滅ぼした。



おどろおどろしい血に沈む屍の数々。
その中1人少女がたたずむ。

その少女の笑顔は、



「てぇーのなーるほうへ...」



まるで鬼のようであった。
 

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