long story

□弐
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「もーいーかーい」


本日はこの夏1番の最高気温を更新するでしょう。

そんなことを朝の番組で言っていたのを思い出す。


空を見上げれば太陽は何時も以上に張り切って地上を照らす。フライパンで炒められる野菜とはこういう気持ちなのだろうか、実際小一時間日差しに当てられているあの岩に卵でも落とせば美味しい目玉焼きが焼けそうである。


「新八みーっけ!」


そんな地獄のような暑さの中、成り行きで開催された隠れん坊。正直殺人級でしんどい。

時は遡り、万事屋のマスコットキャラクターこと神楽が、「銀ちゃん、海に行きたいアル!」などと言ってしまったのが事のはじまり。

どうも周りの友達が行った話を聞いて羨ましくなったらしい。
勿論、うちの主がそんなめんどくさい事聞き入れるわけもなく、駄々こねる神楽の気を逸らすために提案されたこの山中の苦行に付き合わされる事になった。


最初は「山なんて嫌アル!」と反対していた神楽だが、

「おめーよぉ、俺は別に海に行ってやってもいいんだぜ?ただ考えてみろよ。今頃海なんて行っても人はゴミのようだ。とてもじゃねーが海なんて泳げねーよ。芋洗状態だよ。俺はわざわざ遠いとこまで行っておっさんのケツを洗いたくないね。」

別に居るのはおっさんだけでは無いとおもうが...


「その分山はいいぞー?森林浴しながらマイナスミニオン?マイナスドライバー?とか色々たっぷり浴びれるし。」

「銀さんそれマイナスイオンですよ。」

すかさずツッコミを入れるツッコミ眼鏡こと志村新八。このコミュニティーで稀少なツッコミ担当。

「あー、まあ、色んなマイナス浴びれるし、あれだ、なんなら千尋にお弁当作ってもらって木陰でピクニックとかすればいいんじゃねーか?」

色んなマイナスってなんだ?負を浴びに行って何すんだ?
てか誰も弁当作るとは行ってないんだが...

しかしそんな私の気持ちとは裏腹に無邪気な少女の顔は一瞬にして輝いた。”ピクニック”の単語に見事にK.O.、そして現在に至る。
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