long story
□四
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「千尋!千尋!」
木漏れ日が差す、横で小川が流れるこのいつもの場所で、私は修行をしていた。
「千尋、やはりここに居たか。」
私の名を呼ぶ大好きなお師匠様。
「千尋、喜べ!お前は選ばれたんだ!」
そう言って私を抱きしめる腕はたくましい。
選ばれた?
選ばれたって何に選ばれたのお師匠様?
「お前はこれで誰にも負けない最強戦士になれるぞ!!」
お師匠様、なんかまた技教えてくれるの?
「おいで。」
私の腕を強く引くお師匠様。
向かう先は暗黒の闇。
何あれ、何か嫌だ....嫌だお師匠様!
あそこ、行きたくない!
抵抗しようと後ろに重心を傾けるが、それでもお師匠様は強く引く力を弱めない。
「さあ、あともう少しだ。あともう少しでお前はどんな敵をもなぎ倒せる最強の戦闘力となる。」
お師匠様、違う。
私はそんなんになりたいんじゃない。
私は、
「私の大事なものを守れる力になりたいんだ!!」
叫んだのと同時に頭に鈍い痛みを感じた。
「あたたたー...急に起き上がるなんてびっくりしたヨ。」
気づけば目の前に、見たことのあるピンク頭の三つ編み男と、めんどくさそうにこちらを伺っている黒いマントのおじさんが居た。
夢か...。
随分と懐かしい夢を見たもんだ。
「大分うなされてたけど、悪い夢でも見たの?」
どうやら先程起き上がった私と顎を衝突してしまったらしく、三つ編みの男が顎を抑えながら問う。
「あ...うん、まあ。」
私はこの見慣れない部屋の一点を見つめ、自身に起こっている状況について考えた。
なんだっけ?どこだっけ、ここ?
視線をそのまま三つ編みの男に移す。
この人、私はこの人と戦ってて、それで、
それで...?
私は目を見開いてバッと辺りを見回した。
「神楽は!?新八!?」
「クスクス」
突然慌てふためく私の反応が面白いらしく男は笑う。