long story
□五
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腹ごしらえも終わって、俺は連れてきた女に戦艦の中を案内している。
名前は千尋と、意外とすんなり教えてくれた。
千尋は最初、「神威サン、いつ返してくれるんですか。」ってしつこく聞いてきてたけど、俺が無視してツアーしていくうちに諦めて大人しくなった。
「ここが図書室。パソコンとか情報検索するシステムも揃えてるから、調べ物があるときはここに来るといいヨ。」
「小説とかも置いてるの?」
「もちろん。各星の本は取り揃えてあるし、もし欲しい本があったら言ってね、買いに行かせるから。」
「そっか。」
と、まあこんな感じで歩いて回ってる訳だけど、俺としてはこんな事してるより早く、
「ねえ、千尋。」
千尋へ振り返ると、彼女は整った顔を俺の方へ向けた。
「俺と戦おうよ。」
彼女の力を見たい。最初戦ってみたけど、彼女はどこか攻撃するのを遠慮してるように見えた。
俺は千尋の本気が見たい。侍を殺したと嘘をついた時の彼女の目は殺意で溢れて、俺をゾクゾクさせた。もう一度”あの時”の千尋と殺りあいたい。
だけど千尋はそんな俺の気持ちとは裏腹に、
「いやだ。」
と即答で断った。
「なんで?」
「なんでって、貴方と戦う理由が無いから。」
「理由なんていらないヨ。強いやつと戦いたい、それだけで十分でしょ。」
「理由が無い戦いなんて意味が無いもの。」
返ってきた答えに頭を悩ませる。ここで攻撃を仕掛けて無理に戦わせる事も出来るけど、それじゃ恐らく彼女の力を引き出す事は出来ない。
どうしたものかなー....
「てか神威サン、本当に地球に返してくれますよね...?」
そっか
「返してあげるヨ。」
ひらめいた。