long story
□四
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彼女、天草 光さんの失踪事件から三日が経った。
「おはようございます、凛々蝶様。」
「君も飽きないな、おはようございます。」
結局あれは夏目君の活躍で事は済んだが、あの日以来彼女は自室から一歩も出ていないようでその姿を見たものはいないと言う。
彼女のSSの並木君は良く夏目君とお茶をしているのを見受けるが……。今日あたり彼女の様子を聞いてみようか……。
「凛々蝶様、どうかなされましたか?お顔が優れないようですが?」
思考を巡らせていると御狐神君が顔を覗かせてきた。
「ふん、別に大したことでは無い。………ただ……あの天草さんのことがちょっと気にかかっただけだ。」
そう言うと彼は「お優しいのですね。」と笑う。
ラウンジに着くと早々お茶をしている異様な雰囲気を持つ男二人が居た。
「あ、そーたん、ちよたん、おはよ〜。」
「凛々蝶様、御狐神君、御早うございます。」
夏目君と並木君。この二人は仲が良いのか、よく一緒にいるところを見かける。
「フッ、朝からお茶とは、呑気なことだな、おはようございます。」
自分は一言何か言わないと挨拶もできないのか。
そんないつものやりとりをした後テーブルにつくと御狐神君が朝食を持ってきた。
「ふん、わざわざすまないな。」
「いえいえ。凛々蝶様のお役に立てるのなら本望でございます。」
「そ、そうか。それはご苦労なことだな。」
そう視線を逸らしつつも今朝の食事にありつくが、
視線が………。
「な、何か他に用か?」
御狐神君の食い入る様な視線が痛い。