long story
□八
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目
目
目
すれ違う人も、立ち止まってる人も見てくる。
何処に行っても、何をしてもしなくとも感じるこの視線。
何が珍しい?
いや、心当たりは一つある。
「んじゃ、ひかたん、先に何買うか決めた〜?」
このうさ耳男だ。
あんなの付けて歩いてたら私だって見るぞ。
「光様、大丈夫ですか?無理をなさらず、辛かったら一言申し上げてください。」
並木が私の顔色を伺いながら念を押してきた。
無理をなさらずに。
違う、逆に無理をするぐらいが調度良いに決まってる。
"場所変える?"
夏目にそう提案された時私は正直そうしたかった。
しかし、やっと自由になれて憧れの普通の暮らしというものができるようになったというのに、私は未だ手足に枷が付いた気持ちでいる。
それは恐らく"逃げ"のせいであろう。
人から逃げて、未知から、無知からも逃げて追い込まれる。それではいつまでたっても自由なんかになれる訳がない。
来週には凛々蝶と学校へ行く。その前に少しでも克服しなくては。
だから私は袖を引いた。
だから私は足を進めた。
自分に甘えるな。
そう喝を入れて。